主にROE(自己資本利益率)について書かれた本です。この本は比較的新しい本で、2014年の秋に執筆されています。
そのため、アベノミクスが始まって日本企業がどう変わり、株式市場がどうなっていくのか?ということについても述べられています。
最近になって、ROEの改善を目標に挙げる企業が増えてきているように感じます。ROEが高いということだけで投資先を選ぶのは危険だと思いますが、企業(経営者)の姿勢を確認して投資先を選ぶことは大事なことだと思います。
以下は気になった文章です。
「資本コストを上回るROEを達成できないなら、企業価値は棄損する。それながらおカネを株主に返したほうがよい。(中略)「株主還元に積極的」というのは聞こえはいいけれど、裏を返せば、「資本コストを上回るROEを達成できません」と白旗をあげているとも受け取れるのだ。」
「日本企業は売り上げの規模やシェア争いには懸命になっても、肝心の稼ぐ力、利益率への意識が低かった。(中略)利益率――すなわち「効率」ということを考えて働いているサラリーマンが日本企業にどれくらいいるだろうか。」
私は投資する際の指標としてはROA(総資本利益率)を重要視しています。企業の稼ぐ力を考えたときROEより頼りになる指標だと思います。
どちらにしても資本コストを上回れない企業というのは、少なくともキャピタルゲインを狙う株主にとっては投資する価値がないんだろうと思います。
ただ、既にあまりにも巨大な会社になっており、成長余地がそもそもないという場合もあります。その場合、高い配当を出して株主に報いたり、積極的な情報公開の姿勢がある会社であれば、十分投資対象になると思います。
業績はもちろん大事ですが、会社を運営する経営者の姿勢というのもそれに負けず劣らず大事です。そうでなければ大金を投資することなど怖くて出来ません。
これから日本企業がどう変わっていくのかにも注目していきたいですね。